3月19日掲載 |
歯の役割
発声、容貌 多様に関わり
歯の一番重要な役割は「かむ」ことですが、歯にはかむこと以外にも、いくつかの大切な役割があります。そのことを実感していただくために、「さしすせそ」と発音してみてください。次に、前歯の裏に舌を触れずに「さしすせそ」と発音してみてください。どうですか?うまく発音できたでしょうか?
歯を失うと、発音にも影響が出てきます。サ行以外にも奥歯を失うとハ行やラ行が発音しづらくなり、言葉が不明瞭になります。また、不正咬合(こうごう)の一つである下顎(かがく)前突(受け口)では、「f」や「v」のような上の前歯と下唇がこすれ合う「唇歯(しんし)音」が障害されます。
もう一つ、歯には顔の形を整えるという役割があります。子どものころに虫歯が多かったり、歯並びが悪かったりすると、顔や口元の形に影響を与えます。例えば、かみ合わせが上下逆になる下顎前突のまま成長すると、顎のしゃくれた容貌になります。
一方で、大人になってからも、歯の影響で容貌が変わってしまうことがあります。歯周病や虫歯を放置して右または左の歯ばかりでかんでいる、歯を失ったまま残された歯だけでかんでいるなど、歯にかかる力のバランスが悪いと、顔の形も左右のバランスが崩れてきます。また、歯の治療を怠っていると、かみ合わせや歯並びがずれてきて、顎関節症という顎の関節の障害が生じたり、変形から口元の印象が変わってきたりする場合があります。
健康な歯は、快適な暮らしをもたらします。歯周病や虫歯で歯の健康を損なわないよう、正しい知識を持ち、かかりつけの歯医者さんとともに予防に努めたいものです。 |